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「フランスはとにっき」1巻

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  みなさまこんばんは! 本日は「ルーヴル美術館特別展 漫画、9番目の芸術」を見に、森アーツセンターギャラリーまで行ってきた皿洗いです! いやー、面白かったです! フランスでも漫画はたいへん人気らしいと聞いてはおりましたが、ルーヴル美術館が展示するまでになるとは、すっごいことですね!
  この話は、また改めて書きたいと思います!

  しかして今回は、前述とはまったく関係のない(かすかにフランス繋がりですが)、藤田里奈先生の「フランスはとにっき」の話題であります!!
  いやー、本を読んでみましたが、とっても面白かったです!
  ツィッターを始めて、とりあえず知っている作家さんなどをフォローさせていただいているのですが、コミックリュウの作家さんが複数人いらっしゃるので、コミックリュウの刊行情報がヴァンヴァン流れてくるのですね。それで宣伝とレビューをとにかくたくさん目にしていて、気になっていたのがこちらのWeb連載。

  ↓↓現在連載中のお話は、こちらで読めます。↓↓
  http://www.comic-ryu.jp/_hatonikki/

  っていうか今よくよく登場人物紹介見てみましたら、大家さん(おじいさん)が必ず愛人(おじさん)と一緒にいる、っていう紹介だけでももう笑えました(笑)。これ、本で大家さんが初めて登場した時から必ずそうなのですが、「大家さん(おじいさん)、愛人(おじさん)」っていう文字の並びだけでゲフンッてなります(←笑い声)。
  つーか、ゲイの方が多くないですか……? この本、通して。
  フランスはそもそも、そっちの方が多いのですかね? 日本と違ってみなさま隠してないだけ?? 相対的に自由なの?? それともヤケなの??(まさか) ちょっとそのへん知りたいですね。

  ともあれ、Web連載のページを見れば第1話が読めますので、どういう経緯で作者がフランスへ渡ることになったかはだいたいつかめるかと思います。要するに、大した動機はなかった!! ということであります。ワーキングホリデーで行ってみたい、イギリスは人気があるからちょっと回避、宝塚が好きだからベルサイユのばらでお馴染みのパリに行ってみたい、その程度の理由だったようであります。
  それだけで海外暮らしを決めるって、すごいことですねぇ……。
  で、そのフランス行きを決めてから、何故か出張編集部に漫画を持ち込みに行く作者さん(笑)。順番おかしいだろ!! でもどのイベントの出張編集部に行ったのか気になります!! コミティアですか?? コミティアですか?? そこんところはっきりと!!
  余談ですが出張編集部だからって甘いこと言ってくれるなんて、大間違いですよ。出張編集部での手応えが良かったのはリップサービスなどではなく、藤田先生の漫画が本当に面白かったからだと思います。当時リュウで「明日がんばる」を読んでいたわたしが言うんですから間違いない!(拳)

  っていうか、「明日がんばる」の作者さんだったんですね、藤田先生って……。名前で覚えていなかったので、まったく気付きませんでした。すみません(謝罪)。絵柄も、ギャグ漫画とエッセイ漫画でけっこう違いますし……。
  あの連載、好きだったんですよー。特に頭部がマグロの女の子が好きでした。あと生徒会長の先輩。

  話がそれましたが、とにかく、憧れを胸に抱いて作者さんはフランスへ旅立った訳です!! 出発までドタバタだったようですが、まぁそのへんは旅立ちあるあるだと思いますよ(笑)。いろいろ準備しなくてはならないことが多いので、どうしても時間は足りなくなるのですよね。
  ビザの申請をしに大使館へ行くだけでも大事で、日本でここまで大変な思いをしていて、この方、フランスなんか行って生きていけるのでしょうか? と、導入部から早くも心配になりました(笑)。でもまぁ、いちおうWebのほうを見るとそれなりに生活は送れていたようでしたので、ハラハラしつつも読み進め……。
  フランスへ降り立ってすぐ、バスを待っていたら「バスは来ないよ」と言い渡される、試練の時が!!(笑) そのバス会社の人が「バスは来ないよー」と教えてくれたのですが(ストライキだったようですね)、バスが運行してないなら何故に切符を発行したのか!? と問い詰めても、「売ったのは自分じゃないから分からない」と言い返される始末。フランス人すげぇ……。自分の会社の人間が仕出かしたことでも、自分が関与してなきゃ一切謝らないんだ……。
  これは裏表紙の漫画にも描かれているぐらい、フランス人に共通して見られる姿勢のようですね。日本人なら謝るところを、「俺は知らないから俺のせいじゃない」と言い張る、このメンタリティ!! ちょっとこの図々しさには、日本人としてはついていけない気がいたします。深い溝を感じるというか……。自分のせいじゃなくても謝るのが日本人だからなぁ……(それが自分の仕事である以上)。
  まぁでも、日本人の謝罪も過剰かなって思うことも、ありますけどね。作者さんも日本に帰ってきた時には、「日本人は謝りスギだ」と感じたようですので、どちらにしろいきすぎなのかもしれません(笑)。

  そんなトラブルからスタートしたフランス生活ですが、極度の方向音痴の為にパリでさまよったことや、日本人ゆえか10代の子供に間違われる(もうアラサーなのに!)ことなど、いろいろありつつなんとか日々は進みます。
  ルームシェアをして住んでいたアパートで、電気関係のトラブル、配管関係のトラブルなどあるたびに、さきほど書いた「大家さん(おじいさん)」が登場するのですが、手配してくれる修理の業者がこれまた遅い!! 5日後になるって、よかったね! とか言われて、遅いわ!! と思うのですが、5日後で済むならまだマシだよって感じのニュアンスが醸し出されていて「フランス怖ぇえ」と思います。
  だってバスルームの電気が消えて本当に真っ暗なのに、それを我慢して5日も暮らさなきゃいけないなんて……。ひどい話じゃないですか。日本でこんなことツィッターに書いたら業者が炎上ですよ(笑)。
  パン屋に行ってパンを買おうにも、お店のおばあちゃんに「何言ってんだか分からないよ!」と言われ、心が砕けそうになってしまう作者さん。バレエを観に行けば何故か席が他人に取られていて、電話の通じない美術館は電話予約しか受けてくれない不自由さ!! 理不尽さ!!
  極めつけは郵便局で、荷物受け取りの伝票をウキウキと持っていったら「この荷物はもう受け取られています」と言われて大混乱。英語は分からないと言い張り、がんばってフランス語で話しても「荷物は無い」の1点張りで、取り付く島もないフランスの係員……。
  日本でも荷物が行方不明になることは、まぁ、ないでもない事態ですが(でもほとんど起きませんね)、窓口でいくら喋っても暖簾に腕押しの虚しさに言葉の壁まで立ちはだかって、疲労感ハンパないのであります。ああああ、これつらいわ(汗)。

  といった具合で、トラブル満載。
  けれどもどのエピソードも、笑って読むことが出来ます。それはやはり作者さんの姿が「はと」だからではないでしょうか!? なんかふくよかで(笑)、モフモフしてそうな鳩のデフォルメ具合がまたいいんですわ。目もグルンッとした輪だけで、つまりは白目をずっと剥いている状態なのですが、キャラクターとして非常に感情豊かで生き生きとしております。
  このキャラクターのお陰で、全編通してたいへん楽しむ読むことが出来るのであります。
  とりあえずこの鳩、モフりたい……。前から後ろからモフモフしたい……(欲望)。
  そんな鳩ですが、バレエ鑑賞の際に席を取られた時には、もうーフランス語が分からないから日本語でいったれ! と、すごい剣幕で日本語でまくしたてたりもしたのであります。通じなくても、もうこの際いいのではないでしょうか?? 怒ってることが伝われば、ねぇ。怒鳴った姿、かっこよかったです!

  んで、ご本人が面白エピソード満載なのは言うまでもないとして(笑)、出てくる他の人物もたいへんユニークで印象深い方ばかりであります。
  じわじわと攻めてくるのはやはり「大家さん(おじいさん)と愛人(おじさん)」ですが(しかもこの愛人のおっさんがまったく喋らないのが、いい味を出していると思います。なんでついてくるんでしょうね/笑)、大きな位置を占めているのが同居人の「チナツちゃん」。関西弁のフランスガイドさんで、恋多きリア充、そして筋肉と、てんこ盛りのポテサラ好き女子なのであります。
  彼女の顔はもちろん公表されておりませんが、一回、筋肉が写った写真を漫画内に掲載したところ、たちまち昔の知り合いに特定されたそうです(笑)。筋肉で特定される女子って、なかなかいらっしゃらないと思いますわ。稀有な方だ。Web連載を読んでいても、チナツちゃんがとっても頼りになるたくましい(心身ともに)方だということは、よく分かります!
  そして個人的に特に読んでほしいのが、お医者さん。日本語の出来るお医者さん(日本人ですかね?)にかかったのですが、作者さんが職業を「漫画家です」と答えると妙にいいリアクションが返ってきて(笑)、いちいち、なんっかあざとくて可愛い(笑)。正直、萌えました。なんだこの医者!
  笑いの沸点が低いのか、フランスで長く過ごしていると直情的になるのか、とかいろいろ考えましたが、たぶんこれはこのお医者さんの「地」なんでしょうね(笑)。面白い人に当たってるなぁー。
  あと、ちょっとだけしか出てきませんでしたが、公園で喋っているうちに「僕の家でシャンパンでも……」と作者さんをナンパしてくる老紳士。ついていったら何かが起こる予感……! っていうモノローグに笑いました(笑)。まさかの、異国でのアバンチュールっていうか相手ご老人だし。フランス人は年取っても枯れないんですかねぇ。
  そして同じナンパつながりで、たまたま出会ったイタリア人男性。まぁーイタリア人の見本みたいに、とにかく口説いてくるのであります。それでも作者さんが振り切ると、沈みゆく夕日を指し、君が去ってしまうのを惜しんで沈んでいくんだよとなぞらえて……。
  イタリア人、やっべぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!(笑) このセンスはどっから受け継がれてるんですかね!? イタリア人のDNAに刻まれてるの!? 気障なこと言わないと死ぬ病気なの!? イタリア人男性ホントにすごいんだなー!!
  などなど。
  トラブルも人も濃密な体験記を楽しめます……。あー面白かったー。

  1巻に収録された分はもう読めなくなっておりますが、続いているWeb連載も読みごたえたっぷりなので、是非どうぞ! そして1巻も是非どうぞ!!
  んっ? これ、続きますよね? 2巻も出ますよね?? 記事タイトルに「1巻」って書いちゃってもいいですよね?? まぁたぶん続くんだろう、という予測の下に、「1巻」て書いちゃいました。ご了承ください。

  という訳で、おススメのエッセイコミックであります! 是非どうぞ。


  ではではー。

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